インクルーシブ公園のお話
「インクルーシブ」とはすべてを包みこむ、誰も仲間外れにしないという意味です。
全国の公園では、年齢や障がいの有無などに関係なく誰もが遊べる遊具（＝インクルーシブ遊具）の設置が進められています。しかし、これまでのユニバーサルデザインの遊具とどう違うの？と思われるかもしれません。
インクルーシブ遊具はユニバーサルデザインであると同時に、多様な子どもが同じ空間で一緒に遊ぶことで、楽しさを分かち合い、多様性や共生について自然と触れることを期待された遊具です。
これまで障がいや発達に特性があることで公園に来ることができなかった子ども、行きづらさを感じていた保護者がいます。そのためインクルーシブ遊具の導入は、大きな期待が寄せられ、全国で設置が進みました。しかし、遊具の設置だけで本当に多様な子どもの利用が増え、公園がインクルーシブになるのでしょうか？
まず、遊具は公園の一部の施設でしかありません。トイレや駐車場、ベンチ、園路、サイン、芝生、花壇など、公園には多くの施設があります。他の施設においても、誰でも使えるようにバリアフリー化を進めなくてはなりません。
また、単にインクルーシブ遊具が流行しているので取りあえず設置した公園、設置したのでこれで大丈夫と考えている公園も少なからずあるようです。しかし設置だけでは、障がいへの理解やインクルーシブの浸透には、残念ながら不十分だと言えます。設置後の継続的な取り組みがされていないため、結局は今までの公園と変わらない、多様な子どもの利用が少ないといった課題が見えてきました。
インクルーシブ遊具の導入は、インクルーシブの理念を広め、公園を含めた地域全体を変えていくきっかけ、第一歩にすぎません。ここからがスタートです。そしてこれは、公園利用者や地域住民、教育福祉関係者、自治体など多くの方が関わり、公園の枠を超えた幅広い分野で取り組むべきものです。
インクルーシブ公園とは、多くの方が継続的に協力して、施設も人の心もバリアフリーが進んだ公園、そして共生社会のまちづくりに繋がっていく公園なのです。
